猿投山を縦走 (三つの三角点を訪ねる)

 愛知県の瀬戸市と豊田市の境に位置する猿投山は、東海自然歩道が通り、
街に近いこともあってか、愛知県で一番とも言われる人気の山です。
 一方、人が多いのでつまらないと言う人も大勢おられます。
確かに山の魅力の中には、静かなことや、発見の喜びもありますので、
敬遠される方の気持ちも理解出来ます。
でも、それらは一般ルートを歩いた場合の話で、地形図とコンパスを使い、現在地と向う方向を確認し、五感で自然を感じながら歩けば、まだまだ魅力一杯の山歩きが出来る山域です。

 中高年の登山ブームとともに、登山の基本を学ばないまま山へ入る方が多いせいか、
「道迷い」による遭難騒ぎが各地で後を絶ちません。
地形図とコンパスを使いこなし、迷うことなく山を歩けるようにとの講座がきっかけで、受講生の方々が作られた「コンパスくらぶ」と言う山の会。
 仲間たちに引っ張り出されて、久々に猿投山を歩いてみました。



■迫から八草へ (2011年2月4日)
 
 このコースは猿投山を東から西へ縦走しながら、三つの三角点を訪ねることが出来ます。 
 平面上の直線距離は約8.3Kmありますので、所要時間はメンバーの読図能力、山歩きの経験、体力などでバラツキが出ます。
 なお、日没が早い季節に歩かれるときは、万一を考えてヘッドランプを持って行かれるのが良いでしょう。

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 ↑ 旧藤岡町の迫(はさま)の磯崎神社と猿投山です。赤い屋根は農民武術「棒の手」(藤牧検藤流)を奉納する舞台です。
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 ↑ 登り始めの斜面です。この季節はクモの巣もなく、ハチやヘビもいませんし、何と言っても林の中が明るいです。
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 ↑ 三等三角点「深見」に向う尾根筋です。
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 ↑ 途中、木々の間から、東の宮の背後にある猿投山の最高点(632m)から南へ伸びる尾根が見えました。
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 ↑ 三等三角点「深見」(316.5m)です。
先回訪ねたとき置いていった50円玉が消えていたので、今回はご縁があるようにと5円玉を置きました。

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 ↑ 獣道がいくつか通る雰囲気のある尾根筋でした。
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 ↑ 形状と高さからカモシカが角を研いだ跡と思われます。
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 ↑ 人間も獣も、尾根を辿るのが一番です。
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 ↑ 私たちと同じように地図とコンパスで辿った人がいるようです。
ただ、テープの貼付けは、地形を読めない人がそれを頼りに迷い込む恐れがありますので、自分たちが引き返すために付けているのであれば、かつて冬山などで岳人たちが使った赤布を用い、帰りには外すようにしたいものです。
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 ↑ 北一色から猿投山の最高点を結ぶ尾根の一部が見えました。
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 ↑ 時折、ガサゴソと獣が歩く音が聞こえ、モミやツガの巨木も目にすることが出来、一般道にはない新鮮な気持ちが味わえました。
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 ↑ 540mピークです。
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 猿投山の最高点(632m)を振り返ったところです。東の宮の東方40mほどのところにあります。
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 ↑ 東の宮と三角点のある猿投山の山頂を結ぶ一般道(東海自然歩道)に出ました。
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 ↑ 三角点のある猿投山の頂です。以前は木立に覆われて神聖な感じがしてましたが、展望を確保するためでしょうか一部が伐採され、北側が開けていました。
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 ↑ 一等三角点「猿投山」(628.9m)です。
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 ↑ 演習林内立入り自粛を呼びかける東京大学の看板です。
稜線から北側の大半は東大の演習林になっていますが、無断で樹木を伐採したりする人が出てきたためこのような看板が設置されるようになりました。

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 ↑ 食事は山頂より西へ標高差で80mほど下った風が当たらない陽だまりでとりました。

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 ↑ 食事をとった近くに、存在感のあるアカシデ(カバノキ科)がありました。
芽吹きのときに再び訪ねたいと思いました。

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 ↑ こちらのアラカシ(ブナ科)も中々立派でしたが…
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 ↑ アラカシには「ナラ枯れ」現象が認められました。
カシノナガキクイムシのマスアタックを受けてフラスが出てましたので、数年後には枯れると思われます。
 薪炭など森林の利用が減り、森林に人が入らず放置されることで、「ナラ枯れ」など、これまであまり経験のなかった森林の不健康現象が、今後も各地で起きて来ると思われます。
他にも50年以上は経ったと思われるコナラなどが「ナラ枯れ」の被害に遭っていました。
 「炭焼き」の経済性を高め、森林の活性化(健康維持)が出来たらと思います。
人工林に限らず、今、日本各地の山は、木を植えることよりも、適度に切り、それを活用することが急務に思います。
ただ、切りっ放しで、森の中に放置するのはよくありません。
切った木や竹は、出来るだけ早く山から出し、活用することです。そうすることで森林の健康と景観は維持出来ます。

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 ↑ 三等三角点「折平」(628.3m)のある「折平山」です。
「折平山」は、静かで、歴史があり、中々いい山です。一般ルートとしては、北戸越峠から山頂を目指す稜線がお奨めです。
 猿投山の山頂から西へ伸びる「西尾根」は、所々、北側の展望が開け、冬場ですと白山や御岳、恵那山、中央アルプスなども見れます。

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 ↑ アンテナが林立しているのが三等三角点「三国峠」(701.0m)のある「三国山」です。

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 ↑ 小長曽陶器窯跡から猿投山西尾根へ伸びる尾根(北尾根)です。 
 中々良いルートでしたが、無断討伐問題などがあり、立ち入るには、東京大学愛知演習林長の許可が必要です。

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 ↑ 「赤猿峠」です。南の猿投町広沢から瀬戸の雲興寺へ通じる道が西尾根を横切っています。

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 ↑ 北側にやせ尾根が伸びていたので入ってみると…

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 ↑ サルの足跡がありました。
昼中は動物に出会うことは稀ですが、雪の上には野生の生きものたちの痕跡が見られます。

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 ↑ タムシバ(モクレン科)です。3月末頃になると尾根筋を白い花が彩ります。

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 ↑ 高圧線の鉄塔のある斜面からの眺めです。
西尾根は、ところどころこのように展望が利くのがうれしいです。

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 ↑ バリバリと音がしたとおもったらオートバイでした。
山にもいろいろな楽しみ方があるものです。

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 ↑ オートバイやマウンテンバイクの影響でしょうか?
深くえぐられた尾根筋です。

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 ↑ 西尾根の一部を東海自然歩道が通っているので、歩行者の安全確保のため、バイクや自転車を規制するための柵が有りましたが、結果は、道が広がってしまい、柵がむなしく残っていました。
 登山道に丸太の階段を作ると、歩く人が階段を避けるため道が広くなるのと似た現象です。 

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 ↑ 何となくまぶしく感じる木がありました。

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 ↑ 三条峠です。 多くの方が行くべき方向を見失っていることで有名な峠ですが、地形を読めば、例え地図やコンパスがなかったとしても、行くべき方向は判断可能と思うのですが…。
ほとんどの方が地形でなく、尾根を横切っている切通し道を頼りに判断しようとしているようです。

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 ↑ 踏み固められ、露出した根が痛々しい物見山に続く尾根筋です。
 万博以降、海上の森と物見山の間を歩く人が増えているようです。

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 ↑ 物見山からの眺めです。
20年ほど前に来た頃と比べ、物見山の山頂は人手が入り過ぎ、風情がなくなっていました。

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 ↑ 三等三角点「西広見」です。静かさが何よりでした。

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 ↑ 下山地点の八草(やくさ)「椀貸池」畔です。西隣は愛知工業大学です。

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 ↑ 豊田市の南部・若林から見た猿投山です。(左クリックして写真を拡大してご覧ください。)
 今回のルートは、写真の猿投山の輪郭を右手(東の迫)から左手(西の八草)へと歩きました。
山頂付近と物見山で人に会った以外、静かな山でした。

 八草から猿投グリーンロードを使い、迫に駐車しておいたもう一台の車を取って帰りました。




■地形図とコンパスの山歩き
 登山道が整備されてない山を、地形図とコンパスで、現在地を確認しながら登る山の楽しみは、
   ①静かな山が味わえる。 
   ②好きなルートが取れる。 
   ③思わぬ発見がある。
  ことでしょうか。
  季節的には、低山の場合、11月下旬~4月上旬が適期と思います。
  なお、どの山へ入るにも、使う地図の縮尺を合わせておくことで、地図を見ただけで、おおよその傾斜や所要時間などが判断できるようになります。

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