アオバト顛末記

 隣町の区長Yさんから、「タカに襲われたと思える野鳥を保護したので見てほしい…」との電話で確認に行くと、左の尺骨部を痛め、飛ぶことが出来なくなったアオバトが、段ボール箱に入れられ、民家の玄関先に置いてあり、その家の方と思しきご婦人が心配そうに覗き込んでいました。
 人間なら痛みに苦しむのですが、アオバトは落ち着いた様子で、人間たちを観察している風でした。
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  ↑ ルビーのような瞳がきれいでした。
 風切羽のあたり以外には損傷がないことから、電線か網などに引掛かって痛めたと思われましたが、だらんと下がった羽を見ると、例え手術を受けても再び空を飛ぶのは無理なようでした。
しかし、人の命も、野生の生きものの命も、共に生を受けてこの世に生きている以上、何とかしてあげたいと思うみなさんでした。

■保護のいきさつ

 70代の一人住まいのご婦人Kさんが、27日の朝、自宅庭で見つけ保護しようとしたが、飛べないものの走って逃げ回るので、ご近所の応援を得て取り押さえ、出来れば空に返してあげたいと、区長さんに連絡。
 10:30頃、知人のHさんから紹介してもらったと、私のところに電話が入る。
 11:00、区長さんの案内でKさん宅へ行き、♂のアオバトと確認。
 庭では水を飲んでいたとのことでした。
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■その後の動き
 山科鳥類研究所の標識調査員をしている友人のMさんに、お願いできる獣医師さんがいないか相談。
 ボランティアで見てくれる医師がいるので詳しいことは自然観察の森へとのこと。
 次に自然観察の森のO所長に、県事務所の環境保全課を紹介いただく。
 環境保全課のIさんから稲垣獣医科医院を紹介いただき、区長さんと連絡を取り、午後の診療開始30分前の16:30に、稲垣獣医科医院を訪ね診察していただく。
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■診察結果と今後
 怪我をしてから数日経っていること、患部が壊死しているので羽は取れてしまうこと、再び空に帰ることは不可能なこと、それでも、人が世話をすれば生きていけることなどを伺い、とりあえず先生が引き取ることで、一件落着となりました。

■感想
 人間の場合、お金さえあれば医療機関に掛かることが出来ますが、野生生物の場合、自分の意思ではそれも出来ません。
 今回は、一人のご婦人の想いが、周囲の人を動かし、再び空を飛ぶことは出来ませんが、命をつなぐことが出来ました。
 無縁社会と言われる昨今ですが、人間、捨てたものではないことを改めて感じることが出来ました。
 ボランティアで受け入れてくださった獣医師さん始め、いろいろ動いてくださった方々に、アオバトに代わってお礼申し上げます。
 

■野生生物に対する行政としてのスタンスについて
 基本は、野に帰す。
 ただし、今回の場合のように飛べない場合、野に帰すことは、即、死を意味します。
 つまり、早い時期に天敵などにより襲われてしまいます。
 また、仮に飼うと言っても、勝手に飼うことは出来ません。所定の手続きが必要です。
 なお、愛知県の場合、野鳥については、所定の手続きをすれば、弥富野鳥園で引き取ってくれるが、自立出来る状態にあることが前提とのことでした。
 つまり、怪我をしている場合は、持ち込もうとした人が実費で治療してあげてから、直接持ち込むとのことです。
 これらを、なぜ行政がやらないのかと言う考え方の人もいるかも知れませんが、野生生物であることと、何でも行政任せにしないと言う点で、私は理解しました。
 私たち市民は、それらも理解した上で行動することが必要です。




 
 

この記事へのコメント

myone
2010年11月29日 16:58
いろいろな生物と人間が共生出来る地球であって欲しいですねェ。

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