絶滅に向かうのかアキアカネ

 9月18日付で「赤とんぼ(アキアカネ)が消えそうです! 」をアップさせていただきましたが、
その後のアキアカネの生息確認結果をお伝えします。


平地の田んぼ

■9月26日
 「竹村の田んぼ」 (愛知県、標高30~40mほど)

結果
 アキアカネはゼロでした。
 確認出来たのはギンヤンマ11、シオカラトンボ6、ウスバキトンボ約40、ハグロトンボ17、アジアイトトンボ5です。
 なお、一時はほとんど姿が見えなかったハグロトンボも、どぶ川だった逢妻男川の浄化対策が功を奏し、ヤナギモなども復活し、年々その数を増やしています。
 アキアカネについても、①同じ田んぼで毎年米作りをする ②稲刈り後も田んぼに水を入れウエットにする ③減農薬栽培をするなどの対策が打てたらと思います。
 なお、竹村地区は、自動車産業の進出で後継者がサラリーマン化ししているため、田んぼの所有者の9割強は農業法人への委託栽培です。
 現政府は、生産調整(減反)への参加を前提とした農家への戸別所得保障を掲げていますが、このような場合、委託先任せで、自分では田んぼに入ることもない田んぼの所有者が、農家として保障されるのでしょうか?
あるいは、委託された法人なのでしょうか?
どちらにしても、アキアカネにとっては生産調整がありますので、厳しい制度となりそうです。
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 ↑ 川の中の水草(ヤナギモ)に産卵するハグロトンボ。水質が良くなったことで、川魚も上って来ています。


■9月29日
 「伊保の田んぼ」 (愛知県、標高65mほど)
 ほ場整備による乾田化で、10数年ほど前から数が少なくなり、最近は見かけることがなかった地区ですが、その後、粗植少肥栽培をしている農業法人「はっぴー農産」が、委託された田んぼに、稲刈り後も水を入れたりしてじゅくじゅくさせているとの情報が入り、確認に行きました。
 なお、調査した田んぼの北西750m付近には浅田真央選手が通う中京大の豊田キャンパスや、半径500m以内に5ヶ所のため池があります。

結果
 アキアカネの♂2頭が田んぼ近くの草むらにいました。♀の現れるのを待っているようです。
 ♀は確認できませんでしたが、コノシメトンボの4ペアの産卵と♂7、ナツアカネ♂2、ギンヤンマ2、シオカラトンボ5、アジアイトトンボ約30、ウスバキトンボ約20を確認出来、今後に期待出来る田んぼでした。
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 ↑ 草むらにいたアキアカネの成熟♂です。
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 ↑ 水の入った田んぼには、白鷺の仲間や、シギ・チドリの仲間も入っていました。
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 ↑ 近くの稲刈りの済んでいない田んぼでは、ナツアカネの成熟♂が飛んでいました。
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 ↑ 連結打水産卵するコノシメトンボのペア。
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 ↑ ♂を避け、単独で連結打水産卵するコノシメトンボ。
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 ↑ ウスバキトンボの連結打水産卵も観ることが出来ました。


 「八草の田んぼ」 (愛知県、標高125mほど)

結果
 アキアカネはゼロでした。
 確認出来たのはシオカラトンボ4、マユタテアカネ7、ヒメアカネ2、アオイトトンボ3、ギンヤンマ1でした。
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 なお、この辺りは、名古屋に近いことや、愛知環状鉄道や、万博リニモ駅があり、市街化調整区域となっていて、田んぼのある風景も消える方向です。
 ちなみに愛知万博の行われた会場までは直線で500mほどです。



中山間地の田んぼ

■10月 2日
 「梨野の田んぼ」 (愛知県、標高610~640mほど)

結果
 9月13日同様、アキアカネはゼロでした。
 ただ、朝夕の冷え込みの影響が出たようで、前回群れていたウスバキトンボも見当たりませんでした。
 数年前までは、アキアカネと共にたくさんいたノシメトンボも確認できませんでした。
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 「豊邦の田んぼ」 (愛知県、標高470mほど)

結果
 朝夕の冷え込みの影響が出たようで、アキアカネをはじめ、9月10日には、たくさんいたミヤマアカネや、ほどほどいたウスバキトンボも姿を消していました。
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 「四谷の千枚田」 (愛知県、標高220~430mほど)

結果
 無数に群れ飛んでいたウスバキトンボの姿もなく、アキアカネもいませんでした。
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■コメント

 ①ここ数年、平地の田んぼでアキアカネが確認出来なくなっている中で、伊保地域の田んぼで2頭のアキアカネが確認出来たのは、今後に可能性を残し、うれしいことでした。
②「なぜいたのだろうか?」を考えると、稲刈り後も田んぼに水を入れ、減農薬に勤めているコメ作りが効いている可能性がありますので、近日中に「はっぴい農産」を訪ね、栽培の詳細についてお聞きすると共に、アキアカネなどの現状についてお話して来たいと思います。
 ③中山間地については、連日の猛暑の後での冷え込みがあった後でしたので、再訪の時期が遅かったようです。
 来年は9月20日頃に確認出来たらと思います。
 ④国などのレッドデーターブックやレッドリストには取り上げられていないアキアカネですが、9月18日の当ブログでの報告「アキアカネが消えそうです!」と、今回の調査結果から言えることは、このまま何もせず、現状のようなコメ作りを続けていたら、アキアカネは絶滅する可能性が極めて高いと言わざるを得ません。

 国を挙げて、アキアカネの絶滅回避に動く必要性を感じます。  









この記事へのコメント

読ませていただきました
2010年10月06日 20:45
ウェブリブログのテーマ「トンボ」にあったリンクよりたどり着いたもので、近年トンボ探しに興味を持った初心者です。

竹村地区の「田んぼ所有者」のお話は読んでいて「そうなんだぁ~。」と思いました。

①昔は9月の中旬あたりに成熟したアキアカネがたくさん見られたのでしょうか? 今からが最盛期ってことはないのでしょうか?

②標高の高い地区ですが、その日の天候と気温はどうだったでしょうか?

とても興味深いお話ありがとうございました。
蝶鳥蜻蛉
2010年10月10日 17:30
アキアカネのお話興味深く読ませて頂きました。昨年トンボ研究家の方と御縁があり、今では晴れてれば必ずと言って良いほど野山へトンボを観察に出かけています。比較的近くに(尾三地区)住んでいますのでお役に立てればと思い最近の記録をお送りします。9/26 日進市北東部 アキアカネ (初認) 9/29 豊田市旧藤岡地区 アキアカネ 
10/5 みよし市北部 アキアカネ産卵 10/6 日進市北東部 15:45~16:45 繁殖行動終了後に摂食の為集まるポイントでのカウント調査(捕獲後リリース) アキアカネ♂5♀8 10/10 みよし市北部 正午過ぎ アキアカネ♂10+
参考までに鳥仲間からの情報で9/20頃 白樺峠 アキアカネ多数 氏曰くまるでお盆の御在所のようだった。
前述の先生もここ最近の残暑の影響で飛来が遅れてるのではとおっしゃっていました。何かのお役に立てれば幸いです。
蝶鳥蜻蛉
2010年10月12日 18:02
 追加のご報告です。いつもの習慣でトンボの密度の高い所ばかりに観察に出かけていたので今日は同じ市町村でタイプの全く異なる水田にアキアカネの産卵を確認に行ってきました。丘陵地に囲まれた谷地田(土地改良前は湿地、降雨後かなりの期間ジュクジュクしている) 10:10~11:20 5ペア以上の産卵を確認。 一級河川に面した平地の水田 11:35~12:45 2ペアの産卵を確認。 ちなみに後者は前者の倍以上の面積がある。平野部の水田はやまねさんの竹村地区調査結果と同じ様な状態と言えます。

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