COP10  (つづき)

 名古屋での「ビオカフェ」につづき、
翌、1月22日は愛知学泉大学で
「西三河から発信する自然保護行政・動物行政」と言うシンポジウムがありました。
主催は同大学コミュニティ政策研究所で、同研究所が地域社会へ発信する第18回目のシンポジウムとして企画され、今回は、COP10パートナーシップ事業として実施されました。
 自然や動物に対し、行政がどう取り組んで来て、今後どんな方向に向かおうとしているのかを知るには良い機会と思い、参加させていただきました。
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 ↑ 主催者を代表し、矢部隆教授からシンポジウム開催の趣旨について以下のような説明がありました。

 近年、自然環境の保全や、生物の保護などについて、さまざまな人々が取り組んでいるが、思うような成果が上がり難く、いくつかの問題も出ている。
行政の役割としては、適切な規制と、利害調整、保全、保護活動の先導が求められているが、現実は、根拠法令の未整備、行政のセクショナリズムなどもあり、行政の各担当者は高い意識を持っているにもかかわらず、大きな効果が得られていない。
 本シンポジウムでは、岡崎、豊田、安城の各市の行政担当者から、自然環境の保全や、生物の保護への取組みをご報告いただき、尾張から参加された名古屋や知多市の方々も含め、問題点や課題の共有と、将来への展望を語り合う場になれば幸いですとのあいさつでした。

 なお、地域の自然や生物を守るためには、市民、行政、研究者が三位一体となって活動する必要があるとも訴えられた。

■基調講演

 「自然環境の保護と行政の役割」と題し、法制度の変遷を入れながら、国や自治体が取組んで来たことや、1995年の「生物多様性国家戦略」決定に伴う新しい観念が入ったことにより、行政には、よりいっそうの役割が求められていると話された後、自治体の課題として、次の5項目が提示された。

 ①地方分権の流れに添った条例の活用  (コピーでなく独自の条例制定の重み)
 ②住民との環境法規の共有  (協働によるルール作り)
 ③環境担当部局から他部門への展開  (リーダーシップの発揮)
 ④行政区域と環境  (自治体間の連携、地域連携)
 ⑤環境の見える化  (生態系を守るのが何につながるか、うれしさの提示)
 ⑥環境担当職員のリーダーシップの必要性  (配置換えなどの克服も含めて)

 最後に、自然環境の保護、生物多様性の保護といった価値の相対的弱さの克服が求められている。(開発行為をストップする場合に、生物多様性は有効な法概念たり得るか)と締めくくられた。

 日ごろ、このような法的なことについては、断片的にしか触れることがないだけに、大変参考になりました。
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 ↑ 庄村勇人学泉大講師の基調講演です。淡々とした中にも、解りやすく話され、好感を持ちました。
今後のご活躍が期待されます。

■各自治体からの報告

 ・「岡崎市における自然環境保全」  
   地域レベルで行動し、地域の生物多様性を守るべく、水とみどりの森の駅事業や、北山湿地の市民と協働による保護活動、監視員制度などを展開中。

 ・「岡崎市動物総合センターって何するところ」
   4つの部局にまたがっていた動物愛護管理、狂犬病の予防、野生動物の保護、動物園管理と動物診療、野生蜂駆除、家畜診療業務を統一。 (市民にとっては窓口が一本化して利便性があがり、良い改革と言えます。) 
 
 ・「豊田市の自然保護行政」
   ツキノワグマ出没にまつわるエピソード(行ってみたらカモシカだったので、天然記念物担当の教育委員会へバトンタッチ。??)、市の環境政策、ラムサール条約登録を目指していること、二つの環境学習施設などについて。  
 
 ・「豊田市動物愛護ボランティアの育成と共働活動」 (豊田市は共に働くとし、この字を当てている)
   保健所が担当し、狂犬病の予防、動物愛護と管理(犬、猫の引取り、飼い主指導、動物愛護ボランティア育成など実施) なお、現段階では、ほぼ、愛護ボランティア=飼い主

 ・「本證寺内堀ハス再生事業」
   鎌倉時代創建の城郭伽藍を持つ寺のハス再生のため、ハスが消えた要因のひとつである外来種のカメなどを学泉大学の学生などの協力を得て駆除。またその結果や、寺の歴史、ハスのことなどについて地域講座として開いた。
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 ↑ 安城市教育委員会文化財課からの報告です。


■パネルディスカッション & 懇親会(多少アルコールが入ってます)
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 ↑ パネルディスカッションです。

  出て来た話題などで、印象に残ったことを少し。 (懇親会は、本音が出て良かったです。)

 ・市民は多様でわがまま。…メダカや蛍は欲しいが、蚊や、雑草はなくしてほしいなど矛盾がいっぱい。(その通りと思います。それだけに行政側も、尻込みするのでなく、相手に理解してもらうための、しっかりとした考え方、理念が必要ですね。)
 ・里山を残せと言うが。…手入れするので来てほしいと募集しても人が集まらない。観察会のような楽しむだけのイベントは大勢集まる。結局限られた人たちで細々やっているが、新人が少ない。→いいとこ取りの人が多くなっている。子供のときから教育したり啓発が大切ですね。(同感同感)
 ・動物園や動物愛護行政の見直しが必要。…世界中から珍しいもの、かっこいいもの、可愛いものを手に入れ、ペットとして飼ったり、本来の役割を忘れ、集客にのみ力を入れたりしている所が多くなっている。反面、身近な自然がどんどん消えているだけに、子供たちが、はるばるどこかへ出かけて行かなくとも、捕まえたり出来る自然環境を再生復元することが求められている。眺めるだけでは、本当の意味での野生の素晴らしさ、たくましさ、命の大切さは伝わらない。絶滅危惧種に目が行っているが、身近な生きものがどうなっているかの視点が大切。 身近な自然がないところでは、正しい自然観は育ちにくい。
 それと、何が自然で、何が自然でないかの判断が出来る人間を育てる必要がある。
 ・昆虫採集の復活を。…行政が管理する○○の森は、ほとんどが捕ってはだめ、撮るのは写真だけとなっている。かつては昆虫採集は夏休みの定番だった。子供が身近な生きものや草花に興味を示すことで、大人も、その大切さに気づく。 過去を悔やんでも仕方ないので、子供が捕ったくらいで困らない自然環境を再生させるよう、行政も方向転換すべきときに来ている。早く手を打たないと手遅れになる。(同感同感)
 ・野性生物にとっては行政区分など関係ない。…2007年の夏、岡崎市で初めてワニガメが3頭保護された。同じ頃、矢作川の支流・巴川の右岸で釣り人がワニガメを釣り、右岸だから豊田市所管となったが、左岸の釣り人であれば岡崎市所管となるところだった。ここで大切なことは、両市とも、矢作川水系にはワニガメが4頭もいたとの認識。行政区分の壁を越え、情報を共有化して野生生物に対応して欲しい。
 ・動物愛護行政はペット中心なので転換を。…外来種問題が起き、生物多様性が言われだした現在、安易な飼育や、放流への戒めなどの啓発をするとともに、放流などへの支援の打ち切りや、野生生物の保全へ軸足を移してほしい。(同感同感)
 ・ホテイアオイやコイの悪影響を知る人は少ない。…学校や地域で繰り返し啓発を。
 ・某市はゲンジボタルの養殖放流が盛ん。…地域に昔からいたホタルと、それらが住む環境を保全することが大切。補助金制度で養殖蛍に取り組む人が増えている。業者を喜ばすだけ。メダカも同じ。今のままでは、某市の生態系はおかしくなる。(同感同感)
 ・行政マンはすぐ配転されるので、市民との協働の弊害になっている。…一部専門職もあるが、仕組みとして難しいところがあって…。(以下ボヤキ)
 ・行政のトップや、議員の方々も正しい認識を持つ努力を。…権限があるだけに、そう望みたいですが、中々…。
 ・世間で言われるほど行政マンはチンタラではない。(笑)…私もそう感じている。やる気のある人、優秀な人はたくさんいる。ただ、困難なことを避け、おかしいと気づいたときに方向転換する勇気の欠如や、新しいことを避ける風土、仕組みを感じる。ただ、市民がしっかりした認識を持ち、バックアップすることで、より良いほうに動くと実感している。結局は、市民の意識を高めることが大切。見識を持った首長や議員が増えていけば、行政の権限のある人たちも変わって行く。(同感同感)
 ・上部法令を待つのでなく自ら率先して。…国や県が遅れていると感じるものは、自ら条例などを整備して勇気を持って実行することで市民の賛同が得られ、他への影響も大きい。そのためには、行政マンはしっかり情報を収集し、どうすべきかを専門家や市民の声も聞きながら判断する能力が必要。業者丸投げは最悪と知るべし。(同感同感)
 ・学生さんたち、若い方に期待。…私たちの世代は、残すところわずか。(笑)
ただ、日本の自然が良かった頃や、どう付き合えば自然が良い状態で保つことが出来るかを体験し、知っているので、元気なうちに伝えたい。時々でよいから一緒に汗を流しましょう。

■最後に印象に残った言葉…矢部教授の話から

 効果の高い自然保護行政、動物行政を展開するためには
 ①自治体の間の調整
 ②自治体と国の間の調整
 ③自治体内でのセクション間の調整
 ④自治体と市民の間の調整

 が重要。



〔感想〕

  行政と聞いただけで、硬い、仕事をしないとイメージする人が多いものですが、そんなことはありません。みなさん、一生懸命、市民の多様なニーズに答えようとしています。
 今回のシンポも、パネルディスカッションとその後の懇親会の中で、みなさん方の想いに触れることが出来たのは良かったです。
 やまねとしては、言うことははっきり言いながら、協力すべきは協力して行きたいと考えます。
 ちなみに、私たちの団体は、税金の無駄遣いになるのと、関係者のやりがいにつながらないので、市の補助は受けないようにしています。

 このような場を作り、地域と地道に連携されている愛知学泉大学のみなさまにも拍手です。
ありがとうございました。
 





 主催者の矢部教授とは、同じ野生生物をやる者として、懇意にさせてもらっています。昨夜の「ビオカフェ」も、2次会まで一緒でした。







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