段戸裏谷 (だんどうらだに)

   5月9日(土)
 久々の晴天です。
今日は、所属する山の会の山行日でしたが、『カエルの分校』・観察会の案内役で、半年振りに「段戸裏谷」へ行って来ました。
段戸裏谷は、人工林の多い愛知県にあっては最も大きな原生林が残るエリアです。
長年この森iに関わって来た人たちから見たら、段戸湖周辺の変貌振りには落胆されるものもありますが、それでも愛知県内にあっては、「茶臼山原生林」や「面の木原生林」と共に、貴重で魅力あるエリアです。
 なお、段戸裏谷と他の二つの森との大きな違いは、標高910~950mほどの起伏のゆるやかな森の中に、無数の流れと湿地があることのように思います。
 これは鷹ノ巣山(段戸山)1162.3m、寧比曽岳1120.6m、出来山1052.4m、寒狭山 945.2mなどの山々に囲まれた地形が、長い年月の中で形づくって来たようです。
結果、多様な生物相を育み、三河湾に注ぎ込む「豊川」、「矢作川」の大切な水源にもなっています。

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     大多賀峠から見た大多賀の集落と背後の段戸山系の山々です。
右手から三つ目の左右にバランスの取れた頂が「鷹ノ巣山」(たかのすやま)の山頂で、写真左手の北側から南に向かって尾根が続いています。
 最近は地元の方を除けば、段戸山(だんどやま・だんとさん)と呼ばれることが多くなっています。
「段戸裏谷・原生林」も、その名が「きららの森」に取って代わられるのはさみしい限りです。
取って付けたような軽い名前を付けず、昔からの地名を大切にしたいものですが、数には勝てないようです。
大多賀も、平成の大合併で、かつての西加茂郡足助町大多賀から豊田市大多賀町に変更されています。
戸数30軒もない山深い集落に、町の名を追加することに違和感を覚えるのですが、いかがでしょうか。
せめて、豊田市足助町大多賀としていただければ良かったような気がします。
 なお、大多賀峠から山頂までは、直線で5.1Kmあり、冬に登ると山頂から富士山を見ることも出来ます。

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      大多賀の集落から1.2KMほど遡った付近の段戸川です。
「段戸裏谷」の中心段戸湖のあるところまでは、大多賀の集落から直線で5Kmほど上手になります。

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     段戸川を堰き止めて造られた灌漑用ため池の「段戸湖」です。
 過疎化で農業をする方がほとんどいなくなり、今はルアーや、フライフィッシングの観光有料釣堀として活用されています。

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               ブナ(ブナ科)の若葉です。

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              こちらは、ミズキ(ミズキ科)です。

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              コハウチワカエデ(カエデ科)です。

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               シロモジ(クスノキ科)です。

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                 シロモジの若葉です。
子どもたちが葉っぱにいろんな形があることに気づき、大人の方々も感心して観ていました。
 観察会といっても、子どもの目線に合わせ、道草しながら、いろいろ見たり触ったりしての、のんびり歩きです。

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 清流が注ぎ込む段戸湖の浅瀬にはヒルムシロが群生していて、小さな魚やトンボがいました。

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 ホソミオツネントンボです。とてもきれいなブルーで、みなさん感心していました。

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              羽化直後のクロサナエの♀です。
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               種不明のサナエトンボです。

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 ムシカリ(標準和名:オオカメノキ、スイカズラ科)の落下した装飾花と幼木の若葉です。

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            ウスギヨウラク(ツツジ科)の花です。

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                 ブナの新緑です。

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              ミズナラ(ブナ科)の若葉です。

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               ミズナラの巨木です。
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      同じ木を昨年11月8日のTV取材で入ったときのものです。

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    シロヤシオ(ツツジ科)です。 初めて見られた方が多かったようです。

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            トチノキ(トチノキ科)の若葉です。

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   原生林です。大きな倒木がありましたので、子どもたちに観てもらったら
「いろんなものがたくさん生えてるね。」との感想。

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     コケの中に、ツガの幼木を発見した子どもたちがうれしそうでした。
やがて大きくなって、みんながおじいちゃんになった頃には、立派な木になり、森をつくって行くことを話したら、うれしそうにしていました。 大人の方へは倒木更新について話しました。

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               お弁当の後のひとときです。 
          大人はのんびり、子どもは川を走り回っていました。

 その後、全員でモリアオガエルの産卵地で、モリアオガエルの声を堪能しました。 もうじき産卵です。
野鳥は、ミソサザイ、オオルリ、アカハラ、コマドリ、キビタキ、センダイムシクイなどのさえずりを聞くことが出来ました。
キツツキはアカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、コゲラの姿を見れ、森で一人で遊んでいた、地元と言っても車で30分ほど下った田口からおじいちゃんの所へ来た子ども(シンヤくん)とも友だちになりました。



■今後が楽しみ

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     かつて人工林だった所を、広葉樹林に変える動きがありました。
これらが大木になる頃、私たちは、この世にいませんが、将来が楽しみな施策と思います。
 



■気がかりなこと

 最近は人寄せ目的なのか、「きららの森」などの呼称が付けられ、
かつての森の一部を切り開いて遊歩道が造られたり、
渓流の一部を壊して近自然工法の川に造り替えたり、
モリアオガエルが産卵していた湿地の辺りに、車椅子も入れるようにとブリッジを造ったりと、
人間中心に手が入り過ぎています。
結果、それらの手を入れ過ぎた辺りには、在来種のタンポポは消え、セイヨウタンポポが咲いていました。
かつて、モリアオガエルが産卵していた水辺は、乾燥化が進み、カエルの姿は見れませんでした。

 人間側の森との接し方でも気がかりなことがありました。
一つは、段戸湖のフライ・フィッシングのために放流されているブラウントラウトや錦ゴイなどの大きな魚です。
元々生息していたアマゴなどへの影響のほか、水生生物への影響も計り知れません。
せめて、在来種だけでの有料釣堀化は出来なかったものかと残念です。
 もう一つは、野鳥の写真を撮る一部の人たちです。
みなさん裕福になったのか、プロのような大きなレンズ付カメラを持って、森のいたる所に陣取っていました。
中には、一つのポイントに5~6人もいて、鳥の出て来るのを待っていました。
野鳥たちは繁殖期であることなど眼中にないようで、きれいな写真を撮ることしか頭にないのかも知れません。
余分な草木を取り除き、コケの付いた石や、倒木をセットしたり、はては、生餌(ミルウォームとのこと)を置いておびき寄せるなど、有料スタジオのような感覚でした。
 今一度、自然との接し方を考えていただきたいものです。
魚や鳥の一部分だけを楽しむ、いわゆるいいとこ取りをするのではなく、それらが生息する自然全体を見ていただけたらと願います。
そして、それらが次の代も消えることのないように、楽しむだけでなく、保全のために自分でも出来ることをしてほしいと願います。



■感想

 観察会を終えると、子どもも大人も、みなさん満足そうな顔をしていました。
家に帰ると、お礼のメールがいくつか届いていました。
 自然って、本当にいいですね。 私たちをいやしてくれます。 
それなのに私たちから対価を得ようとしない。
それだけに、私たちは楽しむだけでなく、
素晴しい自然が、将来も続くよう配慮し、汗も流すことが大切と、つくづく思うのでした。


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