青春18切符の旅 その③只見線

 会津は、戊辰戦争の際、東北における戦いの中心となった土地です。
良い悪いは別として、錦の御旗をかざし、我こそは正義なりと押し寄せる官軍に、
婦女子までもが武器を持ち抵抗した地域だけに、良く言えば地域としての魂があり、今風に言えばKY(時流が読めない)となるのかも知れません。
 しかし、人、自然、共に捨てがたい魅力の地です。
今回、数十年ぶりに、会津と新潟を結ぶ雪の只見線に乗って来ました。

 12月26日

 眼が覚めると、昨夜の霙(みぞれ)は雪になっていました。
顔を洗いに洗面所に行くと、ロビーには、広島からお出でのご婦人が、
すでに身支度を整えて本を読んでおられました。
 昨夜の宿泊者は、このご婦人と私だけで、一緒に楽しく食事をしたのでした。
 「お早うございます。」 「お早ょぉ」 広島なまりで、あいさつが返って来ました。
連泊の方で、70歳になられてから一人旅をはじめられた方です。
今日は、会津若松周辺を歩き、喜多方まで行けたらとのことでした。
会津若松行始発は、私よりも40分遅い列車ですが、仕度をされていたのです。

 ユースホステルの外は、まだ真っ暗でした。
所々に、なつかしい裸電球の灯る雪道を、歩いて会津高田駅を目指しました。
雪は、地吹雪となって肌を刺すのですが、それらも、この地で生きている人たちを
理解する上では貴重な体験でした。

 お世話になったのは会津野ユースホステルでした。
暗くなってから着き、暗いうちに旅立つ私でしたが、心のこもった食事と、車で10分ほどの立ち寄り温泉へ送迎してくださるなど、やはり、会津の人たちの温かさを感じました。
 次に訪れるときは、連泊し、高田の町や、ペアレントさんなどとも、ゆっくり出来たらと思いました。
  会津野ユースホステルです。   http://www.aizuno.com/
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 餌を探しているのでしょう、所々にウサギやキツネの足跡があり、どちらも姿を確認出来ました。
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 無人駅なのですが、ホームの雪掻きをしている人がいました。
寒い中、ご苦労様と思っていたら、「こんな寒いのにぃ待合室に火もなく、悪いねぇ」と言われ、旅人を気遣う暖かさを感じました。 これが会津人のようです。
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 只見線の始発列車がゆっくり入って来ました。
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 この列車を逃すと、午後1時半近くまで小出へ行く列車はありません。
超ローカル線なのですが、沿線のダムとの関係で、廃線にならずに存続されているのです。
 ほとんどの集落はダムの底に沈み、今ある集落は、替地で出来たものです。
仮に只見線が廃線になれば、国策に協力し、ダムを受け入れた人たちの足を奪うことになるのです。
 只見線沿線は気候が厳しいだけでなく、農耕に適した平地があまりありません。
そんな中で、人々は質素に生き続けて来たのです。
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 時代の波は、そのような地域から若者を奪って行きました。
親としては跡を継いで欲しいとの願いはあっても、現実の厳しさを知っているだけに口に出せないのです。
 柿がなったままになっています。子供の頃には考えられない光景です。
お年寄りだけになると、実った柿も取ることも出来ないのです。
結果として、野生の生きものに与えるしかないようです。
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 都会の人は、環境破壊だ、無駄遣いだと、ダム反対を叫びますが、
そのような土地で生きている者にとっては、ダムの恩恵で子供の教育が出来、
人間としての生活が出来ていることも事実なのです。
 私も、友人たちも、そのような土地で生まれ育ちましたので、
大人たちの苦渋の選択であったと理解しています。
 小学校のときは、こう教えられました。
「日本の発展のために、ここにダムを造り、電気を都会に供給し
、私たちは、それらのために、我慢し、誇りを持つのだ…と。」
 大人になった今、その選択は誤りではなかったと感じていますが、
ただ、都会に住む人たちへのお願いは、せめて、そのような苦労もあっての電気ですので、
大切に使って欲しいと願うのです。
ライトアップや、イルミレーションを見せられるのは、心が傷みます。
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 「御神楽岳」、なつかしい山の名前がありました。
守門、そして浅草岳…、青春時代が思い起こされます。
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 モノクロの世界が続きます。
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 吊橋の奥には、何人の人が住んでいるのでしょうか。
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 上記3枚の写真は、対向列車通過待ちの間の同じ場所の光景です。
目の前の民家が、吹雪で見えなくなりました。
 このようなくり返しの中で、じっと春を待つ生活なのです。
忍耐とか辛抱と言うことが、言われなくとも身につきます。それでも、住めば都です。
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 雪のため少し遅れて、10時半頃小出駅に着きました。 
只見駅から乗った兄と妹が降りて行きます。 親戚の家でお正月を迎えるようです。

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